針路変更

VLCC超大型タンカーは長さ333m、幅60m、深さ 29m(船底から甲板までの高さで、ビル9階に相当します)。また原油満船時には喫水約20m、ビル6階分が水面下に沈んだ状態で航行しています。(満載排水量約30万t)
東京湾やマラッカ海峡などを航行する場合、航路幅や水深に制限がある上に、強い潮流等の自然条件および船舶交通の影響を大きく受けます。
これらの海域で、VLCCの安全航行を達成するためには、乗組員個々の知識、技術、経験とチーム力を結集することが必要です。

自動車を運転し交差点で左折する場合、左折したい地点でハンドルを切れば、車体はそれに従って遅延なく向きを変えます。ですがVLCCのような大型船の場合は、舵を切っても目的の方向に向けるまでに時間がかかる為、交差点の手前約1kmで舵を左に切り、徐々に、船尾を右に振りながら進行し(船首方向は左に回頭)、交差点を左に曲がることができます。
大型船は針路変更に要する時間も長く、90度近い針路変更では10分~15分程かかります。
特にマラッカ海峡等、水深の浅い海域はVLCCの航行できる航路が限られており、船の性能や積荷の状態、船速などを考慮し、また他の船舶の動静も確認しながら針路変更をする必要があり、特別に神経を使う場所です。

  • 針路変更を記載した海図

  • 正確な方位の把握を行うジャイロコンパス

一言コラム:舵の大きさとタンカーの旋回径は?(当社管理船の一例)

舵の面積は約100m2(畳約60枚=約30坪)です。
ずっと舵を切った状態で一周するときの直径は約900mで、要する時間は約30分です。

タンカーの舵とプロペラ

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