2021年1月4日

その他

当社社長 木藤俊一 年頭の挨拶

新年おめでとうございます。皆様には、健やかに新年を迎えられたことと、お慶び申し上げます。
今年は当社にとって、創業110周年という節目の年です。同時に経営統合から3年目を迎えます。
コロナ禍にあっても多様な個性が一体となってしっかりと成果を示し、さらに2050年に向けて新たな一歩を踏み出す、そんな一年にしたいと願っています。

さて、昨年を振り返りますと、コロナの猛威が世界中の国々を襲い、未曾有の危機への対応に明け暮れた一年となりました。まず、全世界で経済活動が打撃を受け、石油をはじめとするエネルギー需要は大きく落ち込みました。また自動車やディスプレイの需要減少等により、潤滑油、機能化学品、電子材料の需要・販売共に減少しました。当社のほぼすべての事業がコロナの影響を受けたと言ってよいでしょう。しかし、このような状況においても、当社はエネルギー・素材の安定供給を通じて国民のライフラインを守るという社会的使命を果たしていかねばなりません。このため製造から物流・販売に至るすべての段階で感染予防対策に万全を尽くし、サプライチェーンの維持に努めてきました。
一方、コロナの影響はマイナス面ばかりではありません。東京オリンピックへの対応として粛々と準備していたリモートワークは、本社・支店を中心に一気に、かつスムーズに進めることができました。今後、従業員がより柔軟な働き方を選択しながら、働きがい・生産性・創造性を高められるよう、引き続き環境を整備していきたいと考えています。
また昨年は、レジリエントな事業ポートフォリオの実現に向けて重点課題を着実に推進した一年でもありました。
「収益基盤事業」では、新SSブランド「apollostation」を21年4月から順次展開していくことを発表しました。SSのデザイン変更だけでなく、POSシステムの共通化を順次進めることで、お客様の利便性を向上させながら、約6,400箇所のSSが文字通り一つのネットワークとして機能を発揮していくことになります。これは将来、SSが地域の移動と暮らしを支える真のサービスステーションに進化していくための重要なステップと位置付けています。製造関連では、ENEOS株式会社知多製造所の一部設備の譲受検討を開始しました。製油所・化学工場が集積し、コンビナートを形成している地域においては、近隣の製油所との連携や石化とのインテグレーションによって付加価値を上げ、効率化する余地がまだまだあると考えています。また、徳山事業所で高効率ナフサ分解炉を新設しましたが、収益基盤事業の構造改革を進めるにあたり、このような効率化や省エネルギー化に向けた取り組みを一段と加速していきます。石炭事業では、豪州エンシャム鉱山にて石炭と混焼が可能なバイオマス発電燃料用植物・ソルガムの植生試験と木質ペレット化試験を開始しました。
「成長事業」においては、中国2か所目の潤滑油製造工場や、世界3か所目となる有機EL材料工場が稼働を開始しましたほか、マレーシア事業所内に第2SPS製造装置の建設を進めており、来年の完工を目指しています。
また、次世代電池向け固体電解質の小型量産設備を千葉事業所内に建設しています。世界的なEV車の普及と共に、天候に左右される再生可能エネルギーの普及率を高めるためにも蓄電池はキーデバイスとなります。当社は蓄電池材料事業を次世代のコア事業に位置付けて事業展開を進めていきます。脱炭素社会に向けた再生可能エネルギー電源の開発にも継続して取り組んでおり、これら事業には当社の成長ドライバーとしての役割を期待しています。
「次世代事業」においては、様々な分野で事業の種まきを開始しています。一例として、昨年5月に千葉県館山市で再生可能エネルギーをワイヤレス充電する、超小型EVによるMaaS事業の実証実験を開始しました。地産地消型の分散電源を活用したMaaS事業としての可能性を検証しながら、当社の強みであるSSネットワークを活かした次世代事業を今後も創出して参ります。

新しい年を迎えた今、当社のさらなる発展のための重点課題を2点、申し上げたいと思います。
一点目は、「競争力強化に向けた構造改革」です。コロナ禍による事業環境変化を主要因として、厳しい経営環境に直面しています。需要減退の中で、出来る限り早期にコストを削減し、競争力を強化して、この変化に立ち向かわねばなりません。目先の収支改善だけにとらわれず、コスト構造、事業ポートフォリオを同時に変革し、名実ともにレジリエントな企業体になる必要があります。同時に組織体制、人員体制だけではなく、根回し、調整に時間を要する企業文化や風土にもメスを入れながら、デジタルを活用しビジネスをトランスフォーメーションさせるという点を意識して経営を進めていきます。
二点目は、カーボンニュートラルへの取り組みです。昨年10月、菅首相が所信表明演説の中で2050年のカーボンニュートラルを宣言されました。報道では連日のように自動車業界における2030年代での電動化の動きが伝えられています。
脱炭素という潮流は、化石燃料を基盤事業としている当社にとって逆風のように感じるかも知れません。しかし、炭化水素を取り扱うプロである石油産業には、CO2について多くの知見とインフラがあります。環境問題への対策を当社の事業活動と統合し、さらに自社の競争力強化につなげていく戦略的な取り組みが求められるこれからの時代において、我々が持つCO2に関する知見とインフラをさらに進化させ、当社が一段と存在感を発揮し成長していくための好機にしたいと考えています。

残念ながら、新型コロナウイルスはいまだ感染拡大を続けており、いつ収束するかは予断を許さない状況です。しかし、コロナ禍のような大きな環境変化が今後生じても、将来にわたってサステナブルな企業であり続けるために、当社の人の力を結集し、新たな「希望」につながる一年にしてまいります。

以上

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